抗菌ソープは百害あって一利なし・アメリカ政府が販売を禁止

アメリカの厚生省が抗菌ソープの販売を禁止することに

FDA Bans The Sale Of Antibacterial Soaps

抗菌ソープは99.99%のバクテリアを殺菌すると言われていますが、アメリカ国内の店頭からは間もなく完全に姿を消すことになりそうです。

 

9月2日、アメリカの食品医薬品局(厚生省の一部、FDA)は「抗菌」作用があると言われている全製品を正式に禁止しました。抗菌ソープが健康の面でによいという主張は誤っており、普通の石鹸とぬるま湯よりも効果があるわけではない、と記しています。

 

FDA医薬品評価センターのジャネット・ウッドコック所長・声明文より:


「細菌類の拡散を防止するためには、抗菌ソープの方が効果的だとお考えの消費者の方もいるかもしれませんが、普通の石鹸と水よりも効果があるという科学的な証拠はありません」

 

「実際のところ、抗菌(ソープ)の原材料は、長期的な視点では利点よりも有害性の方が高い可能性があること示すデータも存在しています」

 

 

実際にFDAが抗菌製品の禁止を提案したのは2013年のことでしたが、製造企業が主張するような効果をFDAに提示するために3年間の猶予期間を与えていました。

 

その結果、提出された証拠は満足のいくものではなかったり、あるいはFDAの要求を完全に無視した企業もありました。証拠がないことに加え、抗菌ソープに使用されている化学物質はホルモンを阻害する可能性があるとして、FDAは19種の指定された化学物質を一つ以上含む抗菌ソープすべてを禁止することに決定したのです。

 

その化学物質の一つがトリクロサンです。病院内での使用目的で1960年に開発されたこの物質は、80年代には家庭での使用目的で液体ソープに混入され一般販売が開始されました。

しかし最近の研究では、トリクロサンの長期使用により人間の内臓内の微生物叢を変質させることで健康上悪影響があるという関連性が認められています。

 

さらにトリクロサンにはバクテリアを殺菌する効果があるかもしれませんが、手洗いに要する時間では、生命体(バクテリア)に接触している時間が短すぎるために効果がありません。

 

そもそも抗菌ソープは、適切な濃度で殺菌できるトリクロサンのような致死下レベルの化学物質に、危険性のあるバクテリアを接触させることが目的でした。しかしこれらのバクテリアなどは低濃度の化学物質内で生き残ることが可能なために、抗生物質に対する耐性がついて引き継がれることになり、この問題は世界中で懸念されています。

 

しかしFDAは感染症の予防としての手洗いを否定しているわけではありません。

 

「普通の石鹸で手を洗い水で洗い流すことは、感染症を予防し、あるいは細菌類が他人に拡大感染する予防として、最も重要な方法であるということに代わりはありません」

一部の製造企業は自社製品から多くの化学物質を徐々に取り除き始めていますが、FDAによる新規則により来年までに全製品から抗菌剤の除去されることになるでしょう。

 

 


【参考】http://www.iflscience.com/health-and-medicine/fda-bans-the-sale-of-antibacterial-soaps/

 

 

 

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【コメント】

FDAによって新たに禁止された化学物質は次の通り(参照リンク)

Cloflucarban( クロフルカルバン )
Fluorosalan( フルオロサラン )
Hexachlorophene( ヘキサクロロフェン )
Hexylresorcinol(ヘキシルレソルシノール )
Iodine complex (ヨウ素複合体、ammonium ether sulfate and polyoxyethylene sorbitan monolaurate)
Iodine complex (ヨウ素複合体、phosphate ester of alkylaryloxy polyethylene glycol)
Nonylphenoxypoly (ethyleneoxy) ethanoliodine( ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノリオジン)
Poloxamer-iodine complex(ポロキサマー・ヨウ素の複合体)
Povidone-iodine ( ポビドンヨード )5~10%
Undecoylium chloride iodine complex( 塩化ウンデコイリウム とヨウ素の複合体)
Methylbenzethonium chloride(メチルベンゼトニウム・クロリド )
Phenol (greater than 1.5 percent)(フェノール 1.5%以上)
Phenol (less than 1.5 percent) 16 (フェノール16?、1.5%以下)
Secondary amyltricresols
Sodium oxychlorosene
Tribromsalan(トリブロムサラン)
Triclocarban(トリクロカルバン)
Triclosan(トリクロサン)
Triple dye

 

 

これは子供を持つ親としてはとても嬉しいニュースでした。

育児雑誌には親をパラノイアにするような勢いで抗菌グッズの広告が出され、上の娘が昔通っていた幼稚園では抗菌スプレーやハンドジェルなどが多用されていて、帰ってくるたびに洋服に変な匂いが染みついていたほどでした。外出先で手を洗おうとしても、多くの場所では良かれと思ってでしょうが抗菌系のソープばかりでしたし・・・

 

一部ではこのような抗菌ソープの危険性はずっと叫ばれていたのですが、一国の政府が禁止したことになることでより広く考え方が変わることが期待できます。

 

 

【関連記事】

 

★子供にあげてはいけないもの20 パート1より一部引用

 

4. 抗菌ソープ(Antibacterial Soap)

では抗菌のハンド・ソープの中に含まれている神経毒について考えてみましょう。

抗菌ソープに含まれる化学物質は、生物を殺す(殺菌)するために調合されたものであり、いわば毒のカクテルのようなものです。バクテリアを殺すのですからね。ただ問題なのは人体にも悪影響があるという点で、健康な神経系の形成途中である乳幼児にとっては特に有害です。

「抗菌」とされている製品はすべて避けるようにしてください。自然な石けんを使い、子供の免疫システムを一般細菌と戦わせるようにした方が賢明です。世界全部が無菌状態になったりはしないのですから。あなたの自宅を無菌のクリーンハウスにすることなんてできないのです。

 

 

また環境に対する悪影響も懸念されています。

 

★抗菌・殺菌成分が入った「薬用石けん」は益どころか害になるおそれ(Gigazin様)より一部引用

 

トリクロサンの生体に対する数々の悪影響が報告されている一方で、マーケット大学のマクナマラ博士は「尿から排出されたトリクロサンは、配水管を通って下水処理場にたどり着きます」と指摘。

 

下水処理場に流されたトリクロサンは、下水中の微生物体系をめちゃくちゃにしてしまい、下水処理能力の低下を招いているとのこと。トリクロサンが下水に含まれる「mexB」と呼ばれる微生物の遺伝子を変化させるのですが、mexBはトリクロサンや抗生物質を排除する働きを持つようになるためです。また、トリクロサンに次いで薬用石けんに使われる「トリクロカルバン」も、微生物群に同様の変化を引き起こすことがわかっています。

 

マクナマラ博士は「トリクロサンなどが作り出したスーパー微生物は、下水処理場から環境へ流出していきます。潜在的に野生動物や、巡り巡って人間にも危険を与える可能性があるでしょう」と話しています。

 

FDAがトリクロサンなどの抗菌成分を禁止するかどうかは不明ですが、マクナマラ博士はトリクロサン製品の使用をストップする消費者選択が、最も強力な対策になると考えています。マクナマラ博士は「不要な化学物質を使わなくても、私たちは通常の石けんやエタノール消毒液で衛生を維持することができます」と述べています