家庭薬「ナチュラル・レメディ」20選

1. 痛んだ喉に効くナチュラルレメディ

「喉は、口や鼻から入ってくるあらゆる細菌やバクテリアをつかまえる網のような役目を負っています」と話すのはラリッサ・ホール・カールソン。Kripalu School of Ayurvedaの校長を務めている。『the American Journal of Preventive Medicine』に掲載の研究によれば、あたたかな塩水でうがいをすることで、粘液や細菌、バクテリアなどを洗浄することができるし、上気道感染症を予防することもできる。カールソンは、小さじ1/2の海塩をカップ1/2のお湯に溶いたものでうがいをするよう教えてくれた。「冬の間は感染症の予防のために週に2〜3回このうがいをしましょう。喉がちょっと痛いかなという兆候が出てきたときには1日1回に増やして下さい」と彼女は提案する。

2. 消化不良や胃の痛みに効くナチュラルレメディ

お腹の調子が悪いときにすぐにできる対処法としては、いちばん近い台所の戸棚にいって、ベーキングパウダー小さじ1/2を室温の水に入れて、少しずつ飲むというやり方。消化不良や胃の痛みは、胃の内壁と胃酸とのあいだの粘膜関門が、細菌感染やアルコール、食べ物にたいする反応などによって一時的に摩耗してしまっているときによく起こるもの。胃酸が過多になると炎症が引き起こされる。そう説明してくれたのはマリア・マーロウ。彼女はニューヨーク市のInstitute for Integrative Nutritionで統合栄養学ヘルスコーチを務めている。「ベーキングパウダーは重炭酸ナトリウムを含んでいます。これが酸を中和するため制酸薬として作用します」と彼女は言う。

3. 咳に効くナチュラルレメディ

蜂蜜とターメリックで作ったペーストが、古来アーユルヴェーダでは喉の痛みをやわらげ、咳を鎮めるナチュラルレメディとして知られてきた。「ターメリックには抗炎症作用、抗菌作用があり、ハチミツには体をあたため、よごれをかき出す作用があります。そのため余計な粘液を引き離すのにいいんです」とカールソンは説明する。等量の蜂蜜と粉末のターメリックを、ペースト状になるよう混ぜ合わせる。咳が治まるまで、3時間ごとにこのペーストを小さじ1杯食べる(お湯で飲み下す)。ターメリックの風味が苦手な場合、ハチミツだけでも、子供の咳を鎮めるのに、市販の鎮咳剤より効果があった、と『The Journal of Alternative and Complementary Medicine』で発表された研究にある。

4. 元気の出ないときのナチュラルレメディ

アシュタンガヨガのプラクティスをする元気がほしい? シャロン・ザルツブルクによれば瞑想は強壮剤として作用しうるという。彼女はマサチューセッツ州バリーにあるInsight Meditation Societyの共同創業者。手早く体中に注意を向けることができるボディスキャンをすすめている。気分が爽快になり、元気が出てくるという。まずは立ち上がって、自分が目にしているものに注意を向けるところから始める。それから耳にしているものへ。次に自分の姿勢にパッと注意を向け、数回のあいだ呼吸に意識を向ける。そしてもう一度全身をスキャンしてみる。「動きや、様々な対象に注意を向けることこそがエネルギーをもたらしてくれます」とザルツブルクは言う。

5. 鼻づまりに効くナチュラルレメディ

鼻が詰まっていると息が満足に吸えないので、ヨガでやる深い呼吸をすることが難しくなる。お湯を入れたポットにエッセンシャルオイルを垂らして、息の通り道を開けよう。ローズマリー3滴、グレープフルーツ2滴、ペパーミント1滴を垂らし、自分の頭とポットの両方をおおうように頭からタオルを掛ける。目を閉じ、蒸気を深く吸い込む。このアドバイスをくれたのはミンディ・グリーン。コロラドに拠点を置くアロマセラピストで『Aromatherapy: A Complete Guide to the Healing Art』の共同著者だ。「エッセンシャルオイルのこの配合は、鼻の充血を緩和する作用、抗菌作用、抗ウィルス作用のある組み合わせです」彼女は言う。「蒸気を吸い込むことで、乾燥してしまった鼻腔内部の組織にうるおいを与えられますし、エッセンシャルオイルの成分をより刺激の少ないやり方で上気道全体に届けられます」

 

6. ストレスに効くナチュラルレメディ

やわらかい腹式呼吸が、ストレスに効くレメディとしてお気に入りだというジェイムス・ゴードン。医学博士で、ワシントンDCにあるThe Centre for Mind-Body Medicineの創設者、そして『Unstuck』の著者でもある。静かに座り、鼻から息を吸い、口から吐く。お腹には力を入れず、リラックスした状態で行う。息を吸いながら、「やわらかい」と心のなかで唱え、息を吐きながら「お腹」と唱える。「より多くの酸素を体内に取り入れることで、迷走神経を活性化することができます。この迷走神経は脳幹から腹部にまで達している脳神経です」とゴードンは説明する。「こうして活性化することによって『闘うか、逃げるか』という反応のバランスを取り、扁桃体の活動を鎮めます。扁桃体は恐れを司る脳の一領域です」彼はやわらかい腹式呼吸を毎日数分間行うこと、そしてストレスフルな状況に直面したときは、5〜10呼吸ぐらいこの腹式呼吸をするとよい、とアドバイスしてくれた。

 

7. 腰痛に効くナチュラルレメディ

腰の辛さ、痛みをやわらげるために、アルダシャラバーサナ(半バッタのポーズ)をすすめてくれたのはジジ・テリノーニ。彼女はYoga for Healingのインストラクターであり、コロラド州ルイビルにあるDova Centre for Health and Healingのオーナーでもある。このポーズは腰の筋肉と大臀筋を強化してくれる。それに加えて、片方の脚だけを持ち上げるので、床につけた脚が、骨盤を支え、安定させてくれるため、筋肉のこわばりを軽減することができる。ブジャンガーサナ(コブラのポーズ)から始める。手首を肩の下におき、肘を肋骨の方に引き寄せる。息を吸って、両手に体重をかけて体を後退させ、首は真っすぐにしたまま頭を持ち上げて右の脚を床から持ち上げる。息を吐きながら、頭と脚を低くする。脚を替えて、3〜5回繰り返す。

8. 頭痛に効くナチュラルレメディ

リフレクソロジーで押すべきポイントの正しい場所を知っていれば、ヨガのクラスの開始を待つ間の時間で、自分で頭痛をぬぐい去ることができる。リフレクソロジーは、体のほかの部位と連関している神経終末を刺激することで作用する。そう説明してくれるのはマーシー・ハワード・メイ。ユタ州セント・ジョージにある Sagestone Spa and Salon at Red Mountain Resortでスパとウェルネスのディレクターをしている。頭痛には、足の親指の側面に沿ってマッサージをする。指先からつけ根に至るまでの関節に向かって下がっていく。これは首につながっているポイントだ。「多くの頭痛は首の筋肉のこわばりからきます」とハワード・メイは言う。「足の親指に働きかけることで、反射的に首の筋肉を緩められるため、そうして頭痛を楽にすることができるのです」

9. 不眠症に効くナチュラルレメディ

「慈愛の瞑想を行う」というのが、寝る時間なのになかなか落ち着かないエネルギーを導いてあげるひとつのやり方だとザルツブルクは言う。この技では、「あなたが幸せでありますように、あなたが安心でありますように」というフレーズのバリエーションを静かに繰り返す。この方法はしばしば特定の人間にたいして直接によいことを願うときによく用いられるものだという。ザルツブルクの提案は、寝るときのバリエーションとして、このフレーズを特定のグループに宛てるというもの。目を覚ましているすべての存在(たとえばあなた自身や、猫など)にたいして、そして眠っているすべての存在(あなたの子供や隣でいびきをかいているパートナーなど)にたいして。自分のエネルギーを他の人に送り、祈りのフレーズを繰り返すことで、気持ちが落ち着き、呼吸もゆっくりになり、眠りやすくなる。「目を覚ましているのに、とても休まります」ザルツブルクは言う。「それに、こうすると眠りの妨げとなる不安感も鎮まります」

 

10. 唇の荒れに効くナチュラルレメディ

乾燥して傷んだ唇には、ざらめ砂糖とココナツオイルで作ったスクラブでうるおいを与えてケアしよう。砂糖とオイルを等量混ぜてペースト状にし、唇に塗り拡げる。しばらくしたら、毛先の柔らかい歯ブラシで払い落とす。糖分がやさしく古い角質を取り除いてくれ、ココナツオイルのクリーミーなテクスチャーが唇をうるおしてくれる。終わった後で、もっと唇にうるおいを与えたいときにはココナツオイルをそのままたっぷりと塗るといい。教えてくれたのはブランディ・ヴェラスケス。ロサンゼルスにあるウェルネススパ Health LA のスパ・ディレクターだ。

ハーブティー© Interspace Co., Ltd. 提供 ハーブティー

11. 生理痛に効くナチュラルレメディ

キャットニップ(イヌハッカ)、フェンネル、ペパーミントをブレンドして作ったハーブティーが、生理中の痛みを緩和するのに役に立つ。「これらのハーブのなかにはエッセンシャルオイルがあり、それが神経系に作用して、けいれんを鎮めるはたらきをしてくれます」そう説明してくれたのはフェザー・ジョーンズ。アリゾナ州に拠点を置くハーバリストでSedona Tea Blendsのオーナーだ。約500ccの沸騰させたばかりのお湯に、それぞれのハーブを小さじ大盛り1杯ずつ加えて、ふたをして10〜15分程度蒸らす。茶こしなどで濾してから、少しずつ飲む。

 

12. 悲しい気持ちに効くナチュラルレメディ

憂鬱な気持ちになったときには、「Breath of Joy(喜びの息)」というぴったりの名前がついた呼吸法が理想的な解毒剤となる。そう教えてくれたのはエイミー・ワイントラウプ。E-RYT(Experienced Registered Yoga Teacher全米ヨガアライアンス上級指導員)であり、Life Force Yoga の創立者、そして『Yoga for Depression』の著者でもある。「抑鬱的なときは、胸の上の方だけで浅い呼吸をするようになっています。この呼吸法で対抗しましょう。酸素を血の流れのなかに送り込み、気持ちにエネルギーを与えてくれます」そう彼女は言う。足を肩幅に拡げて立ち、膝を少しだけ曲げる。体の前方で手のひらを上にして、腕を肩の高さまで振り上げながら、鼻から息を吸う。腕を両サイドに向かって振り拡げながら、息を吸い続ける。腕を頭の上へ、手のひらを向かい合わせにしながら振り上げ、限界まで息を吸い込む。口を開けて、音を立てる煙突のように(地に根を張るような、元気の湧いてくる音を出しつつ)息を吐く。膝は曲げ、腕は自分の後ろに向かって振り、椅子のポーズの変形にもっていく。10回ほど繰り返して完了。

 

13. 口臭に効くナチュラルレメディ

クローブと、フェンネルかアニスシード2,3粒を口に入れ、数分間かむ(その後吐き出す)。「これらはみんな殺菌作用があって、臭いの原因となっている口の中の細菌とたたかってくれます」とマーロウは言う。息がニンニク臭くなってしまったときのための方法もある。パセリかミントを少しずつかじればよい。これらのハーブには、ニンニクに含まれるポリフェノール化合物を酸化させる酵素が含まれていて、それによって臭いの成分が中和されると『Journal of Food Science』が報告している。

 

14. 眼の疲れに効くナチュラルレメディ

眼はおそらく感覚器官の中でもっとも酷使されているものだ。コンピュータの前で長時間過ごしたり、夜遅くまで起きていたりした後では、眼に疲れを覚えることが多いだろう。オーガニックのバラの蒸留水を2プッシュ、眼に向けてスプレーする。これで炎症を軽減し、リフレッシュさせることができる。そう教えてくれたのはカールソン。「アーユルヴェーダ医療では、バラは冷やす作用を持つもの。赤く熱を持ってしまった眼に効きます」彼女は言う。

15. お腹のガスに効くナチュラルレメディ

ジンジャーティーを1杯飲めば、お腹の張りが楽になる。生姜が胃腸系をリラックスさせてくれるため、ガスが減るのだ。新鮮な生姜を用意して、2,3枚スライスする。沸騰したお湯で5分間煮出す。できたお茶を冷まして、少しずつ飲む。ガスの発生をあらかじめ予防する方法もある。「豆のようなガスを発生させる食べ物を食べる10分ぐらい前に、何か苦いもの、たとえばリンゴ酢をショットグラス1杯、あるいはルッコラをひとつかみ程度、飲んだり食べたりするといいでしょう」とマーロウ。「味覚受容体は苦い食べ物を感知すると、胃にたいして消化酵素や胆汁、胃酸などをより多く製造するよう刺激を送ります」もし消化系がうまくはたらいてくれれば、食べ物をよく消化できるし、ガスが発生することも少なくなる。

16. 首の痛みに効くナチュラルレメディ

このコブラのポーズの変化形を試してほしい。「首と頭、背中の上部を一体化させることで強化し、筋肉の緊張をやわらげる機能的な動き」と教えてくれたのはテリノーニ。腹ばいの状態からスタートする。両手は胸の脇に、おでこは下につけておく。息を吸って、両手を引き、顔と胸を持ち上げて、痛みはないが挑戦のしがいはあるぐらいの高さまで持っていって、その位置でキープする(5〜10センチほどしか胸は持ち上がらないかもしれない)。息を吐いて、胸を半分だけ下ろし、顎を引く。息を吸って、両手を引き、顔と胸をもう一度持ち上げる。息を吐き、床まで胸を下ろす。顔を左に向ける。このシークエンスを繰り返し、最後に顔を右に向けて1ラウンド完了。テリノーニは、5ラウンドを1日1回やるところから始めて、最低2週間ぐらい続けるようすすめている。強くなってきたのを感じられるようになったら、5ラウンドを1日2回に増やしていくよう提案してくれた。

17. 足の痛みに効くナチュラルレメディ

立っている姿勢が多いせいで、足がむくんで痛んではいないだろうか? 回復のためには、エプソム塩を注入した水に10分間足を浸すところから始めよう。その後にセルフマッサージを行う。つま先から足首に向かってなでるよう、ハワード・メイがアドバイスしてくれた。むくんで腫れた足から余計な液体(大部分は水分)を追い出すためだ。その後、冷やしておいたゴルフボールの上で足のかかとを数分間ローリングマッサージして終了。「冷たさが痛みや腫れを軽減してくれます。それに冷やすことで血の流れにたいしてヒーリング効果がもたらされます」とハワード・メイ。

18. 頭のぼんやり感に効くナチュラルレメディ

『International Journal of Neuroscience』に発表された研究によれば、ローズマリーを嗅ぐことで記憶力や集中力が改善される。グリーンのおすすめは、ローズマリー、ペパーミント、グレープフルーツをミックスしたエッセンシャルオイルを家やオフィスで活用することだ。それぞれをだいたい3滴ずつ、50cc程度の水に希釈する。ちょっと頭をすっきりさせたいな、と感じたら、デスクの近くでスプレーするといい。ローズマリーには集中力を高める効果があることが科学的に裏付けられているし、グレープフルーツとペパーミントはその覚醒効果のためアロマテラピーで長い間使われてきた、とグリーンは言う。

19. こむら返りに効くナチュラルレメディ

ヨガクラスで集中してプラクティスした日などに、眠りを邪魔する筋肉のけいれんが起きることがある。これは水分の不足や、他にもたとえばカリウムやマグネシウムといった電解質が失われたことも原因となって引き起こされる。そう教えてくれたのは管理栄養士のタラ・コリングウッド。フロリダ州オーランドに拠点を置くスポーツ栄養士だ。練習の後に体の水分と電解質を補ってやることで、リラックスできるし、筋肉のけいれんを防ぐことができる。カリウムを補うためにはバナナを食べるとよい(中ぐらいのバナナ一本で1日に必要なカリウムの12%を含んでいる)。グネシウムを摂るにはカボチャのタネをいくつか食べるとよい(30gのカボチャのタネで1日に必要なマグネシウムの40%を含んでいる)。カリウムを追加で補うためにココナツウォーターを飲む(カップ1杯で1日に必要なカリウムの17%を含んでいる)。そしてもっと必要な水分を補うため、普通の水を飲む。

20. 足の臭いに効くナチュラルレメディ

足の臭いを追い出すために、臭いの原因となっている細菌を殺菌できる液体を作る。バケツに1/2リットルほどのお湯を入れて、そのなかにホワイトビネガーをカップ1杯入れて混ぜる。そこに10分間ほど足を浸すといい。こう教えてくれたのは自然療法医のローリー・スティールスミス。『Natural Choices for Women’s Health』の著作もある。「お酢は酸性で、抗菌特性を持っています」とスティールスミスは言う。もうひとつの選択肢はブラックティーに足を浸すこと。これは収れん剤として作用し、汗腺の大きさを小さくしてくれる。加えて、お茶に含まれるタンニンが抗菌作用を持っている、と彼女は言う。カップにティーバッグを2つ入れて沸騰したお湯を注ぐ。それから足を浸すために1/2リットルほどのお湯を用意し、作ったお茶を入れて薄める。