あまりにひどい「金曜日」のワクチン関係記事

★映画は「日本ではMMR中止後に減少した自閉症が、MRワクチンの接種と比例して増加している」と主張するが、当時、はしかと風疹の予防接種は同時にではなく、27日以上感覚をあけるよう推奨されており、この主張は事実と矛盾する。

 

 ーーまずは映画に対する不信感をすりこんでいます。日本では(当時、)MとRを単独接種していたから、この映画の主張のようにMRワクチン接種で自閉症が増えたわけではない、と。でも、ポイントがずれてる。まず、日本ではMMRワクチンが売り出された1989年から、無菌性髄膜炎、難聴、死亡などがあいつぎ(MMR禍事件)、親の不信が高まっていたという背景がありますが、筆者はそのことさえ知らないのでしょう。さらに、厚労省は、5年間もその事実に目をつぶり、希望者にはなおMMRワクチンを打ち続け、1994年の予防接種法改正に至ってやっと正式に中止したのです(HPVワクチンとまったく同じ構図)。そのMMRワクチンは違法製造などの問題があったことが後になって明らかになりましたが、メーカーも厚労省も反省なし。ほとぼりが冷めた2005年になって、MMRをMRワクチンとして復活させたのです(Mumps,おたふく風邪ワクチンは除外した)。

 

 ーーもう一つ、当時、日本社会ではまだ「自閉症」に対する認識が極めて低かった、そして、厚労省は当時も今も「自閉症(発達障害)は生まれつき」との立場であり、発達障害のサイトを見ても「ワクチン原因説」などどこにも書いてありません。

  発達障害 発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているために、幼児のうちから症状が現れ、通常の育児ではうまくいかないことがあります。成長するにつれ…(https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html

 

 だから、同時接種であろうが単独接種であろうが、ワクチンと自閉症を関連付ける主張に、厚労省が耳を貸すことはないのです。なぜなら、それこそ政治的判断だから。なのに、この記事はその厚労省をかばっている。

 

 ★(自閉症とは)必ずしも知的な障害をともなうわけではなく、先天的な脳機能の違いが原因となるありふれた障害なのだから、ワクチン接種のような後天的な要因で引き起こされるはずもない。

 

 ーー次のポイントは、自閉症は先天的障害だというアピールですが、これも厚労省の立場に沿ったもの。一方、欧米では、自閉症の子を持つ親は、みな同様に「自閉症は後天的だ」と主張しています。たとえば、「それまで何の問題もなく成長していた」「ワクチン接種後に、それまで身に着けてきた能力がすべてなくなった」「行動が変化し、まったく別の人間になってしまった」などと。

 

 それを示す動画もたくさんあります。

 たとえばアメリカのマディソンちゃん。

 https://www.youtube.com/watch?v=FWdLC8KAnf8

 

 表情豊かだった赤ちゃんが、ワクチン接種後、まったく表情を失い、カメラ(人とも)に目線を合わせなくなったことがよくわかります。表情だけではなく、言葉も手を使う能力も、周囲への興味も失った…つまり生まれて一年くらいは、まったく正常だった脳機能が何らかの原因で失われたわけ。動画は「ワクチンを打つ前に、自分でよく調べて」と結んでいます。

 映画俳優エイダン・クインも「(上の)娘は普通に育っていたが、ワクチン接種後に自閉症になった」と述べています。

 https://www.youtube.com/watch?v=XRB2TLFvc3s

 

 もう一つのポイントは、この映画を監督したアンドリュー・ウェークフィールド博士の信用を完全になくすことですね。

 

★ウェークフィールド博士は1998年、MMRワクチンが自閉症の原因であるとの論文をランセットに発表した。その影響で多くの親がMMRを子どもに接種させず、イギリスとアイルランドではしかの大流行が起きた。他にも多くのスキャンダルが噴出し、医師免許もはく奪され、イギリスから追放される格好で米国へ活動拠点を移したのだ…

 

 --博士については何回も書いているので、ここでは簡単に事実を指摘するだけにしておきます。

 

 問題の「論文」は、彼一人のものではなく12人の共同執筆です。その論文には「MMRワクチンが自閉症の原因」と言っているわけではなく、「混合ワクチンでは原因がわからないから、個別接種を」と提案しているだけです…実は、その点こそ医薬産業界の逆鱗にふれたのですけどね。そして、論文発表から十年ほどたったころ、イギリスの医療雑誌、「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルBMJ」が、突然ウェークフィールド博士の論文を詐欺として告発したのです。これを受け、イギリス医事会議は、2010年、彼と二人の執筆者を有罪としましたが、共同被告のジョン・ウォーカー・スミス氏はこれを不服とし控訴しています。

 

 その結果、等裁判所は関連資料を「深く分析」した後、2012年、職業上の違法行為と倫理違反を示す証拠はないと判断したのです。つまり、博士にかけられていたすべての「罪」は、ワクチン不信をあおりかねない医師を抹殺するための完全ないいがかりだったことが明らかにされているのです。なのに、海外文献を読み込む能力もない連中が、いまだに博士を批判しているというのは笑止千万。さらにBMJは、2008年、ワクチン最大手のメルク社、グラクソスミスクライン社とパートナーシップを組んでおり、まさに利益相反の中でウェークフィールド博士の告発が出てきたのですね。

 

 この事件は、多くの有能なジャーナリストが追い、詳細な報告を公表しているし、医師・研究者なども博士の主張の正しさを裏付けていますが、金に支配されたジャーナリズムの任務はそんな「事実」に目を向けさせないこと。とにかく「悪いのはウェークフィールド」で片づけようとしているのです。医薬産業界は学会も取り込んだ邪悪な世界であることを頭に入れておきましょう。